西表に着いたスタッフ一同。この後、この原生林の島で一体何が彼らを待ち受けているのか!? 南の島で彼らが見たものとは!?(懐かしの水曜スペシャル風)

5/23(夕刻)
 港に着くとマイクロバスが一台停まっていた。これがこの島唯一の公共交通機関だそうで、バス停は なく好きな所で乗り降りできるるらしい。なんとものんびりした話であるが、そんな運営方法成り立つの かな?交通状況だってあるだろうし、乗合バスがそんな気軽に停車してしまったら他のお客さんは どうするのだろう? しかしそんな疑問はすぐに解消された。道は港からのびたこの一本のしかなく、 他に車が走っている様子もない。乗客も20名近くいたが、グループとしては我々と社員旅行の 一段の2グループだけだった。腕時計を見ながらセカセカしている人種は少なくともこの車内には いなかった。
 海岸沿いを走るこの道は右手に珊瑚礁、左手に西表島の原生林を見て進む。まさに西表島まで来た! という実感のわく道だった。景色に目を奪われていると、ふと聞き覚えのある単語の看板が見えたような 気がした。
”ヒナイビーチ”確かにそう書いてあった。今回の宿泊先である。慌ててあおあおさんに聞いてみる。
(今回、段取りはすべてあおあおさんがやってくれていた。ありがとね)
「今ヒナイビーチって書いた看板があったけど、この辺りじゃない?」
「運転手の人にヒナイビーチまでと頼んだからまだじゃないかな。」とあおあおさん。
「でもそのあと茂みの向こうにヒナイビーチって看板のある白い大きな建物があったよ。」
「ああ、それだ!」
すぐに運転手の人に引き返してもらうようにお願いした。さきほどの社員旅行で来られた方たち も快く引き返すことを承諾してくれた。寛大な皆様方に感謝である。かくして数百メートルほど 戻り、皆さんにお礼を言うとバスを降りた。

   茂みの切れ間から中に入るとまさしく目的の建物があった。どうも運転手さんは近くにあるヒナイビーチ という浜辺と勘違いしていたらしい。ヒナイビーチのそばのヒナイビーチという宿。なんともややこしい 名前をつけたものである。しかし、それにしても敷地が無駄に広い!建家のおよそ4倍はあるだろう その芝生にはボートと車が1台停めてあるだけだった。この空間はなんなんだ?レンタカーを借りたお客さん が大挙して押し寄せた時用なのかな?でもこの敷地がいっぱいになるほどこの島に車があるのかなあ? そんな疑問をいだきつつ、中に入った。
 玄関を入るとそこはいきなり、吹き抜けの広い食堂だった。中には誰もいなかった。
「あのー、すみませーん」呼んでみたが、食堂に声が響きわたるだけで返事はなかったが確かに人
の気配はするどうやら厨房の奥の方に誰かいそうだ、カウンターを越えて中を覗きこんだ、その時!
大きな白い犬が飛び出してきた。「おおっ!」とこちらが驚いていると中からとても人の良さそうな
おじさんが現れた。この人がこの宿のご主人らしい。あおあおさんが宿帳を書き終えると部屋に案内
された。しかし、どうもこの建物は違和感がある。内装は特になくコンクリートの壁。
階段もコンクリート。タイル張りの共同洗面台そして先程の広い食堂。なんだか学校の寮のよう
だった。それもそのはず、元々はとある会社の社員寮を改造してできた宿だそうだ。しかし部屋の方 は畳敷きのいたって普通の部屋だった。
 荷物を置くと、早速受付をする為に会場に向かうことにした。玄関まで行くと。宿のご主人が我々を
会場まで車で送ってくれるという。しかし会場までは歩いても5分ほどのところ。悪いから遠慮すると
ついでだから乗って行って下さいと勧められ、ご好意に甘えることにした。このご主人見た目通りの
親切な方である。

   会場につくと受付を行っていた。その中に見覚えのある顔が。ローカル氏である。一時間は遅れ
てくるだろうと予想していたのだが、どうやら我々のすぐ後の船にギリギリで飛び乗ったらしい。
そして、もう1人これまた見慣れた顔が。まるで島人のように真っ黒に焼けた肌に怪しい風体。
今回の発案者、相原氏。その人であった!今回は自艇の搬送が困難ということでエルズミアなる
ファルト艇での出場となったのだが、これが一筋縄ではいかない。なにやら今回も独自の怪しい
改造を施してあるらしい。不適な笑みがそのものものしさを物語っているようだった。
 今回は先程も言ったように、自艇の搬送が困難なため(あの、かわいい飛行機にはカヤック
乗りましぇん)我々はレンタル艇での参加となっていた。現地の村田自然塾の村田さんが今回
艇を貸し出してくれる手はずになっていた。現場に現れた村田さんはいかにも南のシーカヤッカー という方だった。(勝手な私個人のイメージに過ぎないが)
今回この大会に参加するにあたって一番ネックになっていたのが艇の確保だったのだが
非常に良心的な価格で艇を貸し出してくれるという氏の申し入れのおかげで参加できたようなもの
である。感謝。感謝。

   さて今回我々が乗ることになった艇とは「チヌーク!」決して悪い艇ではないが今まで激軽の
インチキ艇に乗ってきたものにとっては、ポリのツーリング艇はちと重いなあ。
明日のレース前に乗って感触を確かめる。スピードに乗ればそこそこ速そうだ。が、やはり出足は重い。 そう思いながら、漕いでいると、ローカル氏、マッサー氏の両名がなにやら怪しい行動を取り始めた。 背もたれを前に倒し、その上に腰かけて漕ぎ始めたではないか!レース漕ぎに慣れてしまった 二人には膝を入れて漕ぐことなど考えられないのだろう。妙に高い位置から漕ぎ降ろしながら
「これなら、いける!」とご満悦だった。しかし、この作戦が後にとんでもない結果を招くことに なろうとは・・・・。
こうしてそれぞれが様々な思惑を胸に抱きつつ西表の初日は暮れていくのだった。

西表旅行記3へ続く

(ダッチ)



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