出発

2008/5/16 11:00(日本)

私は中部国際空港へ向かっていた。
飛行機は15:45発なのでそんなに早く出て行く必要もなかったのだがマッサーさんからメールが入り
空港で昼食を一緒にとろうということになった。
どうやら家族や従業員に疎ましがられているようだった。
これから海外旅行に行こうとしている人間が職場や家をウロチョロされたら確かに面白くないだろうから
無理もないか。

昼食後、まっさーさんがローカルさんに電話をいれた。今回の応援にとても行きたがっていたのでせめて
出発の雰囲気だけでもとの配慮からだ・・・ってただの嫌がらせじゃないか。
電話の内容はわからなかったが、とても羨ましがっていたのは伝わってきた。

しかし、成り行き上ついてきてしまったが冷静に考えてみればとんでもない話だよなあ。1ヶ月前に突然ハワイに行くって
決めたんだから。シーカヤックを始めてから長期休暇をとって遠征に行くのは当たり前のようになっていたけど
今回は少々心境が違っていた。
今までは自分がイベントに参加する方だったが今回は応援が目的である。
現地で遊ぶにしても国内とは勝手が違うだろうし。そんな不安もあってか、出発の段階になってもイマイチ気分が
盛り上がらないでいた。
とは言っても初めてのハワイ!テレビの中だけの世界だと思っていたところへ実際にいけるのだから楽しくない訳じゃない。
細かいことは気にせず、楽しもう!!

今回の日程は韓国のインチョン空港経由でハワイに向かうものだった。
しかも時間は4時間ぐらい余分にかかるが直行便より4万ほど安かったのでマッサーさんにどちらにするか聞かれたときは
即答していた。安いうえに2カ国もまわれるなんてお得だと思ったからだった。

2008/5/16 17:45(韓国)

インチョンに着くと早速お土産物屋を回った。2年前に韓国にきたときに家族に買っていった携帯ストラップが好評でまた
買ってきてほしいといわれていたのだ。じつはこれも韓国経由を選んだ理由のひとつだった。
2年前のことだしまだ売っているだろうか不安だったがお目当てのものはまだ店頭に並んでいた。しかも種類が増えていた。
結構売れているのかな?とにかく売っているお店を確認できたので帰りに買って行くことにした。
ハワイ行の便にはまだ時間があったので空港内の喫茶店で時間を過ごすことになった。(ハワイ行きのチケットなので
空港の外には出られないそうです。)そこでマッサーさんが携帯電話をとりだしながら言った。
「これ海外でも使えるんだよ。しかも自分の携帯のデータを登録できるし。」
「へー便利ですね。どうしたの?」
「現地についたらイッチャンと連絡をとれるように借りておいたんだがね。どえれりゃあ、準備いいだろぉ」
と自慢げに話した。
確かに慣れない海外しかも大会の状況がわからないのでは身動きがとれない。まさに携帯は必需品だ。
今回の応援ツアーを言い出しただけの事はある、ただの身勝手なオヤジじゃあないなと見直しかけたとき、
「じゃあ、ダッチ君設定、頼むね」と言われ携帯と取説を渡された・・・・。

ごちゃごちゃと横から文句を言われながらも設定が完了し、携帯を返すとマッサーさんは試しに家族に
電話をかけた。
家族の反応はとても冷たかったようだが、うまく設定が完了したことにはご満悦の様子だった。

ハワイ行きの飛行機に乗り込みいよいよハワイに向けて出発!
これから約8時間ほどかかる。私は映画を見ようと座席前のタッチパネルを操作した。大韓航空なので基本言語は
ハングルだった。日本語バージョンに切り替えたのだが操作パネルは日本語に切り替わっても肝心の映画がオリジナルの
音声しかないうえに字幕が英語、中国語、ハングルしかでない!いろいろとタッチパネルや音声チャンネルをいじってみたが
状況は一向に好転しなかった。しかたなく邦画をチョイスして観ることに、ちなみに少しでも英語の勉強になればと字幕は
英語にした。

映画が終わるころ食事が運ばれてきた。日本時間だと23時くらいだったろうか。夕方に軽食をとったきり何も口にして
いなかったのでこの時には相当空腹状態だった。食事が出てくる様子がまったくなかったのでこのまま朝まで耐えるしかない
のかと不安に思っていたところだったので食事を乗せたワゴンが近づいてきた時にはほっとした。
食事はビーフとビビンバからの選択。今の気分はビーフが食べたい。しかし席が中央だったので食事が配られるのは最後
の方だった。悪い予感は的中した。私のところに来たときすでに選択の余地はなかった。
深夜にニンニクのきいた、ピリカラビビンバ。しかもこの後は寝るしかない。(邦画は1本しかなかったので)
厳しい状況ではあるがこう空腹では寝ることもできない、しかたなくC.A.からビビンバを受け取った。
味の方はなかなかいけた。こうゆう状況でなければこちらを選んでいたかもしれない。
隣ではマッサーさんが何で選べないんだとブツブツ文句をいいながら容器のフタを開けるのに苦戦していた。

食事もすみおなかも落ち着いたのでそろそろ寝ようとしているとC.A.が何やら配りはじめた。
それは入国の申請書のようなものだった。自分の名前やパスポートナンバーや滞在先、いくつかの設問に答える
ものだったがすべて英語で書かれていた。面倒くさくなって「ただの観光だから、こんなもの別に書かなくたって
いいんだよね?」とマッサーさんに聞いたら、書かなきゃだめだよと言われた。また私を騙しているんだなと思って
まわりを見るとみんな一生懸命記入している。どうやら本当らしい。でも10年ほど前にアメリカに行ったときは
こんなもの書いた覚えないけどなあ。ツアー会社のほうで書いてくれていたのかなあ?
腑に落ちない点はあるものの現状は書かなくてはならいのだから仕方がない。
二人で中学生レベルの英語力を駆使し悪戦苦闘しているときマッサーさんの電子辞書のことを思い出した。
「マッサーさん電子辞書は?」
「ああ、預けた荷物の中。」
「・・・・」
こういう時、手元になくちゃ意味ないじゃん。空港で「これさえあればバッチリだ」ってさんざん自慢してたくせに。
脳トレするためにもってきた訳じゃないでしょ。(空港での待ち時間に電子辞書に入っている脳トレをして遊んでいた。)
ないものは仕方ないとにかく書き終えないと安心して寝ることもできない。そうこうしているうちに消灯されてしまった。
ただでさえ英語で、しかも文字が小さいのに明かりまで消されちゃって。嫌がらせ?それとも試練なのか?
暗いスポットライトの下で解読作業中マッサーさんが隣の女性に話しかけていた。
三人掛けシートの通路側に座っていたその方も日本からの観光客でハワイにはもう何度も訪れているという事は
マッサーさんが離陸直後に ちょっかい 声をかけていたので、すでにわかっていた。
確実な情報に裏づけされたマッサーさんの行動により、用紙の書き方を教えてもらうことができた。
あの時は本当に助かりました。見ず知らずの旅の方ありがとうございました。
こうしてなんとか眠りにつくことができたのだった。

(Written by ダッチ)



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