西表旅行記もいよいよ大詰めです。それでは西表旅行記5、始めさせていただきます。

5/24(昼)
 すべての選手がゴールし往路レースが終了したので我々は海岸のそばの広場に移動した。
そこにはテントが立てられ、テーブルやイスも用意されており食事ができるようになっていった。テーブルには島の人達が用意してくれた沖縄ソバや各種刺身が並んだ。
 レース中に新鮮な刺身が食べられるとは思わなかった。さすがは海の幸豊かな島ですな。
 南国の魚というとあの色鮮やかな魚を思いうかべるが、少なくとも目の前にある刺身は本土のものと変わりなかった。もっとも、いくら原色の魚でも肉までその色な訳はないので当然といえば当然のことなのだが。(ちなみに、熱帯魚は肉まで同じ色だと思っており、俗にいう「体にいい、青い魚」は青い熱帯魚だとこの間まで信じていた知人がいた。)
 味そのものも大差はなかったが、食べ方が少し変わっていた。ワサビ醤油ではなく、ポン酢のようなものに、小さな唐辛子をつぶして、といて食べるのだ。あおあおさん達はなじめないらしく、ワサビ醤油が欲しいなと言っていたが、自分としてはサッパリしていて、この南国の気候に合っていて美味しくいただけた。
 しかし、これでビールが飲めないのは辛い!一レースを終えて、汗も充分かき、ほどよい疲労感に海の幸。そしてこのロケーション!もうビールを飲む為のすべてが揃っている。一杯だけでもいいからと何度も思ったがさすがにすぐレースがひかえているので断念した。ほとんど拷問だな。

 さて食事も済んで、レースまでまだ1時間半ほどある。自由時間なのだが皆、午後からのレースに備え芝生にゴロリと横になって寝ていた。
 確かにレースのことを考えれば、それが賢明なのだが我々にはやらねばならない事があった。それはこの島の散策だった。
 この鳩間島はマンガ注1)「光の島」のモデルになった島で、主人公の通う小学校をはじめ、劇中に登場する風景がそのまま実在するらしいのだ。
 あおあおさんにこのマンガを薦められて読んですっかりハマッてしまい、今回のレースに参加したのもこの鳩間島にいけるという事だけで決めたようなものだった。(なんて影響されやすいヤツ!)
 この島の散策こそが今回の旅行の目的といっても過言ではない!レースの為に寝てなどいられるか!自分は早速あおあおさんと一緒に島の散策に向かった。島の中央部に灯台があり、この島で一番高い場所なので島全体を一望できると聞いたのでまずはそこを目指す事にした。

民家をぬけて島の灯台へ
民家もこの地方独特の建物。

 

 島の道を歩いていると、「光の島」の世界に入り込んだようだ。マンガでは30年ほど前の島が舞台になっているので、もしかしたら現在は変わってしまっているかもしれないと思っていたのだが自然石を積んだ塀で囲まれた家や、その間を縫うようにはしる狭い急勾配な道などイメージのままだった。
 道からそれて、雑木林(どちらかと言うとミニジャングルといったイメージ)の坂道を登りしばらく行くと、突然視界が広がった。そして、そこで目にしたものは!!
 「おおおおー」思わず二人とも声をあげてしまった。それは今までにみた事もない光景だった。
 視界一杯にひろがる原生林は深い緑に萌え、その輪郭をなぞるように珊瑚礁は広がり、そのまま境なく空につながっていた。

まさに360°の大パノラマ
とても写真で伝わるもんじゃ
ありません!

 来てよかった。ここまできてこの景色を見ずして帰る手はないだろう。しばらく景色に目を奪われていたが、悲しいかなあまりゆっくりもしていられない、スタートまでにもう一カ所行っておきたい場所があった。それはこの島の小学校だった。マンガの中で主人公たちが通っている小学校で、物語の中心にになっている場所である。名残惜しいがこの場を後にした。

 先程のみんなが休憩しているところ通り過ぎしばらく行くと門のようなものが見えてきた。その門には「鳩間小学校」の看板が掲げられていた。
 「あっここだ、ここだ」と近づいてみてまた感激した。まさしく、マンガの中にでてきた小学校そのままだった。さすがに敷地内に入るのは気が引けたので外から見るだけだったが、主人公たちが駈けていたグランドなんかまるで再現したかのようだった。

マンガの世界そっくりのグランドは
今にも物語の登場人物たちが
駈けてきそう。

 たっぷり堪能したとはいえないが、スタートの時間がせまっていたので元のスタート地点へと戻った。しかしレースの中継地点にしておくのは勿体ない。今度は是非この島へ訪れて何泊かして海も含めて、すみからすみまで散策したいものだ。

鳩間島の自然にふれ合った心和む一時も終わり、いよいよ復路レースが始まる!

西表旅行記6へ続く
<用語説明>
注1)「光の島」(尾瀬あきら作)ビッグコミックオリジナル連載中

(ダッチ)



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